By Aki Fuchigami on 25/08/06 20:23
近年、越境EC市場は世界的に急成長を遂げています。特に2025年に入ってからのデータを見ると、日本の製品やサービスが再び世界から注目されていることがわかります。
この記事では、最新の統計や消費者動向をもとに、「なぜ日本ブランドが海外で売れるのか」「今注目すべき国やカテゴリは何か」を詳しく解説します。
越境EC市場はどこまで伸びる?世界と日本の最新データ
越境EC市場は2021年から2030年にかけて、年平均成長率26.2%という驚異的なスピードで成長し続けています。2030年にはおよそ1,000兆円規模に到達すると見込まれており、その波はすでに日本企業にも押し寄せています。
実際、2024年度のデータでは、日本から海外へのBtoC越境EC取引額は約3.9兆円にのぼり、輸入額(約4,200億円)と比較してもその規模は9倍以上。とくに中国(2.4兆円)と米国(1.4兆円)の2市場が日本の越境ECにおける主戦場となっています。
何が売れている?海外で人気の日本製品ランキング
海外の消費者に最も支持されているのは、日本ならではのカルチャー商品です。アニメグッズ、トレーディングカード、テレビゲーム、さらにはレトロなレコードなどが引き続き人気を集めています。
加えて、ブランド時計や日本製アパレル、コスメ、調理家電など、機能性と品質を兼ね備えた商品群も安定した需要があります。2025年上半期のeBay Japanのレポートでも、こうしたカテゴリが高い取引数を記録しています。
これらの商品が評価される背景には、日本ならではの「安心・安全」「品質の高さ」「限定性」などが深く関係しています。
インバウンドから越境ECへ:新たな購買行動の流れ「ウェブインバウンド」とは?
ここ数年で注目を集めているキーワードに「ウェブインバウンド」というものがあります。これは訪日外国人の購買体験が、そのままオンライン越境ECに接続するという新しい消費スタイルを指します。
たとえば、訪日前にSNSやクチコミで日本の商品を知り(旅マエ)、旅行中に実際に商品に触れて体験し(旅ナカ)、帰国後にオンラインで購入する(旅アト)という流れです。
2025年上半期には、訪日外国人の数が2,150万人を超え、とくに欧米やオセアニアからの旅行者の増加が目立ちます。これにより、従来の「中国人による爆買い型」ではなく、「体験を通じた購買」へとシフトしているのです。
消費スタイルの変化と新興市場へのアプローチ
欧米の消費者は特に「背景や物語がある商品」に価値を感じています。そのため、日本の伝統・文化を反映したデザインや、公式サイト限定の特典付き商品などは非常に好まれる傾向があります。
また、アジアだけでなく、ASEANや欧米など新たな市場の開拓も今後の鍵となります。多言語対応・多通貨決済・地域ごとのレビュー文化対応といった「ローカライズされたEC体験」が必要不可欠になっています。
加えて、デジタルコンテンツや体験型商品(例:オンラインワークショップ、限定ライブ配信など)も高く評価されており、リアルとオンラインを結びつけた商品戦略がより重要になっています。
今こそ越境ECを戦略的に活用するチャンス
円安が進行する中、日本の製品は「手頃で高品質なブランド」として世界から再び注目を集めています。いま、海外ユーザーの中では「日本限定」「公式販売サイトのみ購入可能」「日本語パッケージ」などの付加価値が評価される時代に突入しています。
これまで国内中心だった企業にとっても、越境ECは大きな成長機会となりうるでしょう。
まとめ:世界とつながる日本の越境EC
2025年の越境ECは、単なる「販売チャネル」ではなく、日本文化や体験を世界と共有すストーリーテリングの場へと進化しています。
これから海外展開を強化したい企業にとっては、今がまさにそのチャンス。貴社の商品が、世界中のファンをつかむきっかけとなるよう、今後の戦略設計にこの情報をぜひお役立てください。