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OPTI IncJul 24, 2025 6:22:45 PM< 1 min read

越境ECが当たり前の国シンガポールについて

シンガポールと日本の越境EC市場を比較:消費者行動から読み解く戦略の違いと可能性

Last modified 07.25.25

越境ECは当たり前の時代へ:シンガポールの急成長

近年、シンガポールにおける越境EC(海外からのオンライン購入)の成長が加速しています。AirwallexとStatistaが2025年に共同で実施した最新調査によると、シンガポールの消費者の98%が「海外通販は快適」と感じており、69%が月に1回以上の頻度で越境ECを利用しているという結果が出ました。

この数字は世界平均を大きく上回っており、越境ECがシンガポールの消費者にとって日常の購買手段となっていることを示しています。

購入ジャンルとその背景

特に人気のカテゴリは以下の通りです:

  • ファッション:75%

  • スキンケア・美容:60%

  • 電子機器:56%

  • 食品・飲料:49%

背景には、価格だけでなく、商品の多様性や海外ブランドへの関心の高さ、国内にない商品の入手ニーズがあります。また、セールイベント(11.11、12.12、ブラックフライデーなど)との親和性も高く、93%がこれらの時期に合わせて越境ECを活用している点も特徴的です。

決済とUXへの期待

シンガポールの消費者は、ECサイトにおける「支払い体験」の質を非常に重視しています。調査では以下の要素が重視されていました:

  • 送料・為替手数料の透明性(97%)

  • 自分に合った支払い手段の選択肢(96%)

  • モバイル最適化されたシームレスな購入フロー(94%)

また、Apple PayやBNPL(Buy Now Pay Later/あと払い)のような新しい決済手段にも高い関心が寄せられており、67%が越境ECと国内ECで異なる決済方法を使い分けているという実態も明らかになっています。

日本市場との比較:慎重で信頼を重視する購買行動

一方で、日本の消費者は越境ECに対して慎重な傾向が見られます。さまざまな調査から、越境ECの利用経験率は50〜60%程度、月1回以上の利用は2〜3割に留まるとされており、シンガポールと比較すると普及度には大きな開きがあります。

日本の消費者が重視すること

  • 日本語対応の有無

  • 円建てでの価格表示

  • 信頼できる配送体制と返品対応

  • 正規品であるかどうかの保証

このように、日本のユーザーにとっては「価格やスピード」よりも、「安心して購入できること」が最優先されます。特に翻訳の質やサイトの信頼感が、購入決定に大きな影響を与えるため、UIやコピーライティングのローカライズが極めて重要です。

実際の事例:Amazon Japanの信頼設計

グローバルECプラットフォームであるAmazonは、日本市場への越境販売において、以下のような取り組みを行っています:

  • ページ翻訳の精度向上:機械翻訳と人手による監修を組み合わせ、自然で信頼感のある日本語表記を実現

  • 配送可否と為替表示の明確化:「日本への配送可能か」「円建て価格か」を検索段階で明示し、購入のハードルを低減

  • カスタマーレビューの見せ方:海外出品商品であっても、日本のユーザーがレビューに基づいて判断できるよう設計

これらの工夫により、越境であっても国内で買うのと同じ感覚で安心して購入できる体験が構築されており、日本の消費者に高い支持を得ています。

戦略的示唆:国別の当たり前に寄り添った設計が成功の鍵

シンガポールと日本では、同じ越境ECという文脈でも消費者の期待値や購買行動が大きく異なります。

  シンガポール市場 日本市場
越境ECの成熟度 非常に高い 中程度(慎重派中心)
重視する価値 UXの滑らかさ、決済の柔軟性、価格 安心感、信頼性、ローカライズ対応
決済手段の要求 多通貨・Apple Pay・BNPL等多様 クレカ・Amazon Pay・円建てが安心
成功の鍵 スピードとUXの最適化 丁寧な翻訳と国内感覚の導線設計

 

オプティとして支援できること

OPTIでは、こうした市場別のユーザー特性に基づき、越境ECにおけるブランドの成長を多角的にご支援しています。特に以下の分野に強みがあります:

1. グローバル越境EC戦略設計

  • 市場選定と進出優先順位の可視化

  • 決済・物流・言語・為替に対応したUX構築

2. 日本市場における信頼構築支援

  • 日本語ローカライズ/コピーライティング

  • UI設計、決済・配送の国内感の再現

  • 各モール(楽天・Amazon・Yahoo!等)との併用戦略設計

3. 購買行動データを起点とした改善

  • Google AnalyticsやCRMを用いたファネル分析

  • カゴ落ち・途中離脱の分析とUI改善

  • 広告・LP・CRM一貫設計によるLTV向上

まとめ

越境ECはもはや"特別な購買行動"ではなく、地域によっては"標準的な購買手段"へと進化しています。市場ごとの当たり前の違いを理解し、それに合わせた体験設計を行うことが、これからのECビジネスの成功の鍵です。

今後もオプティは、戦略・体験設計・分析のすべての側面から、企業の越境EC成功をサポートしてまいります。

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OPTI Inc

University of Texas留学、後、セイコーインスツル株式会社での海外販社管理、オリックス海外現法での金融営業の経験を経て、欧州系税務戦略コンサルであるロベンダル・マサイ株式会社にて税務戦略部門設立。新たな税務コンサルティングソリューションを国内に展開し、100社以上のクライアントを獲得。 2010年に同僚と共にスピンアウトし、2010年11月11日オプティ株式会社を設立。経済産業省、独立行政法人 日本貿易振興会(JETRO)等での欧州付加価値税に関するコンサルティングや税務記事執筆等の業務を受託。現在、税務部門・データ部門では大手製造業を中心に400社超のクライアントに対してサービスを提供。 2012年より米国Avention社の開発した企業データベース”OneSource”の国内一次代理販売権を取得し、2013年1月10日にグループ会社としてワンソース・ジャパン株式会社を設立、同社代表取締役に就任。ワンソース・ジャパン株式会社では販売代理店である日経メディアマーケティング社と共に国内にてサービスを展開し、現在ではコンサルティング業界や金融機関等数多くの企業で使われるサービスとして定着させた。 2016年1月より世界最大級のVAT還付業者であるタックスバック・インターナショナル社のジャパン・カントリーマネジャーを拝命、タックスバックの有するサービスを国内にて展開中。

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