昨今、グローバル市場での利益創出を狙い、様々な企業が海外企業とビジネスを行っており、その数は年々増加傾向にあります。日本企業が海外進出する際、現地法人を設立する場合や現地に法人を設立しない場合など、現在では様々な形で海外企業と取引をしたり、海外の消費者に対して物品やサービスを提供する機会が近年増えています。このような海外進出の際は、FS(フィージビリティ・スタディ:事前調査)によりマーケティング面や物流面、また法人税等など、様々な側面を事前調査されるでしょう
しかしこの点、間接税については、各国の税務当局が情報を積極的に提供しているにも関わらず、十分に検討されずにビジネスを開始されている会社が多くように感じられます。例えば、欧州の消費税である欧州付加価値税(Value Added Tax :略称 VAT)についても、当社のクライアントは多くが大手企業ですが、これらの企業でもどのような行為が課税活動なのか、またどのように税申告をして、どのようにタックスプランニングをしていくべきかを悩まれている企業が多い印象があります。
この理由の一つとして、欧州付加価値税法をはじめとして国際間接税に精通した専門家が国内では少ないため、企業の税務部といえども、これら国際間接税に関するコンプライアンスやタックスプランニングについてきちんとした知識がないということが挙げられます。
また、「VAT還付」や「VAT登録」制度については多少知識のある企業でも、これらの制度利用の良し悪しや、関税や移転価格を含めたグローバルなサプライチェーン管理を気にしていない企業もあるように見受けられます。欧州付加価値税はじめ米国売上税などの国際的な間接税は、現地の課税要件を満たした場合、たとえ日本企業のような外国企業であっても現地の関連法規に従う必要があり、その上でビジネス上の効率だけでなく、税務上の効率も求めていかなければなりません。
昨今、欧州税務当局はEU域外の企業による欧州での課税活動に関して厳しく取り締まるようになってきています。背景として、欧州付加価値税はインボイスなどの「形式」を重視する税であるので税の未納付やコンプライアンス違反を容易に発見されることが多いこと、各国の税収割合(直間比率)が世界的に「直接税」から「間接税」へシフトしており、特に欧州では付加価値税が基幹税収であるため税務調査が頻繁に入ることの他、GAFAと呼ばれるGoogle, Apple, Facebook, Amazon等の大手IT系クラウド企業による経済活動や、同様のサービスではITを駆使しているため簡単に消費地である欧州で販売を上げている割に税を巧みに逃れるスキームを利用されており、外国企業の課税活動にも着目されるようになったことがその理由として挙げられます。
このような傾向を受け、過去の自社の取引について欧州税務当局から突然課税漏れの指摘を受け、税申告の要求を受けている日本企業が多くなってきています。当社においても、各国の税務当局との交渉を依頼される企業やその対応策に追われるケースが最近特に多くなってきています。
そこでこの『欧州付加価値税ガイドブック』では、日本企業が通常盲点となりがちな欧州付加価値税の仕組みや事例を説明し、貴社の欧州ビジネスの際の事前検討に役立てて頂ければと考えております。欧州VATを中心として説明されていますが、消費税(付加価値税/VAT)は欧州発祥の税であり、時代に即した変化をしてきており、最近もプラットフォーマー向けの税制改正などがあり、税が頻繁にビジネスの実態に合わせようとしてきています。このため、欧州VAT制度は同様の消費税や付加価値税制度の中でも現在世界で最も進んでいると思われます。よって、欧州以外の国においても今後似たような動きになると考えられるかと存じます。
当ガイドブックにより、皆様の欧州付加価値税に対する理解が深まり、取引開始時の法令順守に少しでも寄与することによって貴社のサステナブルな欧州ビジネスの御発展に貢献できれば幸いです。
オプティ株式会社
代表取締役 淵上 暁
欧州域内で物品を購入したり、販売したり、また機械を据え付けたりしている場合は、現地の課税リスクがございます。
税登録をする場合でも、国を間違えられないので正確に判断を行う必要があります。
欧州VAT
University of Texas留学後、多国籍企業での海外販社管理、海外金融機関での金融ソリューション提案、欧州系税務戦略コンサルを経て、創業。経済産業省、日本貿易振興会等での税務コンサルティング業務の他、製造業サプライチェーンのタックスプランニング、デジタル課税やプラットフォーマー税務支援を多数。
俗説に反して、Lorem Ipsumは単なるランダムなテキストではありません。紀元前45年に書かれた古典ラテン文学に由来し、2000年以上の歴史を誇ります。
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