シンガポールGST完全ガイド(Shopify販売編)
シンガポールに向けてShopifyで物品を販売し、日本から直接発送している事業者の多くが直面するのが「どの時点で、誰が、どのようにGST(消費税)を負担・申告するのか」という論点です。本記事は、シンガポールGSTを確認し、課税分析をしてください、というニーズに応え、2025年時点の実務に即して、登録要否、課税区分、価格設計、通関・請求実務、申告・納付、システム対応までを一気通貫で解説します。
シンガポールGSTを確認し、課税分析 完全ガイド
シンガポールに向けてShopifyで物品を販売し、日本から直接発送している事業者の多くが直面するのが「どの時点で、誰が、どのようにGST(消費税)を負担・申告するのか」という論点です。本記事は、シンガポールGSTを確認し、課税分析をしてください、というニーズに応え、2025年時点の実務に即して、登録要否、課税区分、価格設計、通関・請求実務、申告・納付、システム対応までを一気通貫で解説します。標準税率は2024年1月から9%となっており、ゼロ税率(Zero-rated supplies)、非課税(Exempt supplies)、インボイス制度(InvoiceNow)や、輸入GST繰延払い制度(Import GST Deferment Scheme)、ゼロGST倉庫制度(Zero GST Warehouse Scheme)などの関連制度も整理。さらに、越境EC特有の「低額物品(Low-Value Goods)」や「海外ベンダー登録(OVR)」の扱い、B2CとB2Bの違い、インコタームズ(DAP/DDP)の選択とリスク、Shopify側の設定・オペレーションまでを、意思決定に使える比較表・チェックリストとともにまとめました。
読了後には、自社の販売モデルに最適なGST対応の全体像と、直ちに着手できる実装ステップが明確になるはずです。なお、制度の詳細や最新動向は内国歳入庁(IRAS)の公式情報で最終確認ください。
- シンガポールGSTの基礎と最新動向
- 日本発Shopify越境ECの課税ポイント
- GST登録が必要かの判定(必須・任意・OVR)
- 3つの販売モデル比較と意思決定
- 価格設計・請求書・Shopify設定の実務
- 輸入・物流(通関、インコタームズ、特例制度)
- GSTの計算・申告・納付(四半期)と事例
- 税率9%移行の留意点(トランジション)
- 不遵守リスク・罰則と内部統制
- よくある質問(FAQ)
- 90日実行計画:優先度付きアクション
シンガポールGSTの基礎と最新動向
GST(Goods and Services Tax)は、シンガポールの消費税に相当します。1994年導入後、長らく7%でしたが、2023年に8%、2024年に9%へ段階的に引き上げられ、現在の標準税率は9%です。税務当局はIRAS(Inland Revenue Authority of Singapore)で、課税対象は国内での物品販売・役務提供・輸入です。
定義(シンプル版)
標準税率(Standard-rated)9%:国内課税取引に適用
ゼロ税率(Zero-rated)0%:輸出や一定の国際役務(仕入税額控除可)
非課税(Exempt):居住用不動産、金融サービス等(仕入税額控除は原則不可)
越境ECに直結するポイントは次のとおりです。
- シンガポールへの物品輸入時には輸入GSTが原則9%課されます(関税対象外の品目でもGSTは別)。
- 低額物品(Low-Value Goods、LVG)(通常S$400以下)のB2C販売については、海外ベンダー登録(OVR)制度が適用され得ます(該当すれば海外事業者でもSG消費者に9%を課税・納付)。
- ゼロ税率(Zero-rated supplies)や非課税(Exempt)などの区分があり、仕入税額控除の可否が変わります。
なお、GSTの詳細制度や税率変更に伴う移行措置、最新の行政要件は各種専門解説やIRASで案内されています。特に2025年以降、電子インボイス(InvoiceNow)による請求書データのIRAS送信義務が段階導入されます。制度の最新情報はIRAS公式の案内をご確認ください。IRAS: GST InvoiceNow Requirement
ゼロ税率と非課税の違い(仕入控除の可否)
「ゼロ税率」は税率0%で課税取引として扱われ、当該売上に係る仕入GSTは控除可能です。一方「非課税」は課税対象外のため、原則として当該売上に係る仕入GSTは控除できません。輸出や国際サービスがゼロ税率の代表例、居住用不動産・金融サービスが非課税の代表例です。
- 越境ECで重要なのは、輸出のゼロ税率は「シンガポールからの輸出」に関する概念である点。日本から出荷する場合、その「供給地」や輸入取扱いのスキームで適用関係が変わります。
- LVGのB2C供給はOVR下で国内供給とみなされるため、0%ではなく9%課税の設計が必要になる場合があります。
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